昔、作成した債務整理の原稿です。このサイトは原稿の保管用のサイトです。


 P4 理論と仕組み



 過払い金の発生

■ 過払い金の発生
 利息制限法によれば、元金が10万円未満の場合には法定金利は年20%、元金が10万円以上100万円未満の場合には、法定金利は年18%、元金が100万円以上の場合には法定金利は年15%です。そして、法定金利を超える利率の利息は無効になります。例えば、年利30%で100万円借りて1年後に130万円を返済した場合には、法定金利を超える利息分である15万円については無効となるります。そして、無効となった15万円については、支払う必要がないにもかかわらず、支払ってしまったことになるので、過払い金として返還請求できます。
 かっては、利息制限法の他に出資法により上限金利が定められていました。利息制限法においては、上限金利が年15〜20%であり、上限金利を超える利息は無効ですが、上限金利を超えても罰則がありません。そして、出資法で定める上限金利(年29.2%)を超えた場合に初めて罰則が科されることになっていました。そのため、貸金業者は利息制限法の上限金利超えるが罰則が適用されない年利28%や29%の利息をとっていました。もっとも、罰則が適用されなくとも、利息制限法の上限金利を超える利息は無効になります。
 そして、平成18年1月13日の最高裁判決において、裁判所が利息制限法の上限金利を超える利息が無効であることを認め、さらに、期限の利益の喪失約款のある貸付けにおける弁済の任意性を否定することによりみなし弁済を否定し、過払い金の返還を認めました。それまでほとんどの貸金業者は利息制限法の上限金利を超える違法な利息をとっており、大々的にテレビCM等を行って契約者を増やしていたため、過払い金返還請求が大々的に始まりました。中には貸金業者と入れ替わって過払い金返還請求のテレビCMを行う弁護士事務所や司法書士事務所まで出てきたほどです。さらに、その中には、「業界安値」や「着手金0円」等の目に余るような広告を行っていたところも多くありました
 最近では、過払い金を返還できずに倒産してしまった貸金業者が続出しています。そのため、過払い金の返還請求をしても簡単には返してもらえないと考えた方がよいです。かといって、返還請求を行わずに、その間に貸金業者が倒産してしまうとほとんど返還される見込みはないので難しいところです。  

 改正貸金業法等

■ 改正貸金業法等
 2006年の法改正により、利息制限法・出資法・貸金業法が改正されました(完全施行は2010年6月)。まず、出資法が改正されて上限金利が年29.2%から利息制限法の上限金利と同様の年20%に下げられました。これにより、いわゆるグレーゾーンが撤廃されました。また、貸金業法の「みなし弁済」の規定も廃止されたため、「利息制限法の上限金利を超える金利だが、みなし弁済の規定が適用されるため有効である」との貸金業者の主張は認められなくなりました。さらに、総量規制が導入され、借入額は年収の三分の一までと制限されました。そして、貸金業者からの借入の際には年収を証する書類が必要とされ、容易な借り入れが制限されました。
 これまでは、違法な金利で計算取引を合法な金利で計算し直せばそれだけで債務が減少し、さらには、過払い金が発生すればお金が戻ってきましたが、これからはそう簡単には済まなくなります。そして、2006年の法改正後、貸金業者も利息を引き下げており、過払い金返還請求の時効が10年であることを考えると、あと数年のうちに「過払い金」自体が消滅します。そのため、これからは引き直し計算しても借金は減少せず、またお金も戻ってはこなくなります。
 これから気を付けることは、ヤミ金業者からは絶対にお金を借りないことです。ヤミ金業者とは貸金業法に基づく登録を受けずに貸金業を営む業者です。そして、ヤミ金業者の貸付けは違法であり無効となるため、そもそも、ヤミ金業者からお金を借りてもそれを返す必要はありません。もっとも、返さなくてもよいと言っても、相手は登録を受けていないヤミ金業者ですので、返さない場合には何が起きるか分かりません。そのため、一番良い方法は、最初からヤミ金業者からはお金を借りないということです(「君子危うきに近寄らず」です)。
 貸金業法等の改正により総量規制が導入されたため、生活が苦しくなっても簡単には貸金業者からは借入ができません。また、ヤミ金業者から借り入れをするのはもってのほかです。そのため、どうしても生活が苦しい場合には、社会福祉協議会の生活資金貸付の制度を利用したり、さらには、役場に行って生活保護を申請することになります。何かと問題の多い生活保護ですが、生活保護は最後の命綱だと考えてください。

 取立規制

■ 取立規制
 まず、貸金業法21条1項には、以下のように規定されています。「貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付の契約に基づく債権の取り立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付の契約に基づく債権の取り立てをするに当たって、人を脅迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」。そのため、貸金業者が債務を取り立てる際には、暴言を吐く等の「脅迫的」な取り立てや、胸ぐらをつかむ等の「暴力的」な取り立ては禁止されています。
 そして、貸金業法21条1項九号には、以下のように規定されています。「債務者等が、貸付の契約に基づく債権に係る債務の処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人(以下この号において「弁護士等」という。)に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること」。そのため、弁護士または司法書士が貸金業者に対して受任通知を送付すれば貸金業者は取り立てを行うことができなくなります。
 司法書士が貸金業者に受任通知を送付すれば、貸金業者の取り立てが止まり、その間に今後の支払をどうするか考える時間をとることができます。
 このように、そもそも、暴力的・脅迫的な取り立ては禁止されており、さらに、弁護士や司法書士が貸金業者に対して受任通知を送付すれば取り立て自体が止まりますが、債務自体が免除されたわけではないので、早急に債務整理の方針を決める必要があります。
 なお、取り立て行為に対する規制は、貸金業法に基づくものであるため、規制が及ぶのは貸金業者のみです。ヤミ金業者はその存在自体が貸金業法に違反しているため注意が必要です。

 強制執行の中止

■ 強制執行の中止
 お金を借りたものの返済ができない場合には、当然のことながら貸金業者から催告がきます。さらに、催告がきたにもかかわらず返済が滞ると、貸金業者も法的措置をとらざるを得ませんので、裁判所からいろいろな通知が来ます。そして、その後は、強制執行されて給料等を差し押さえられかねません。給料を差し押さえられると生活費が足りなくなる恐れがありますし、給料を差し押さえられると、会社が貸金業者に対して給料の一部を支払っていかなければならなくなるため、会社に迷惑がかかります。そのため、給料の差押えだけは極力避ける必要があります。
 債務整理においては、強制執行を中止させる方法があります。まず、特定調停の申立てを行えば強制執行を中止させることができます。また、破産や個人再生の場合も強制執行は中止されます。
 特定調停の場合には、強制執行を停止するための申立てを行うことができます。調停を申し立てて話し合いをしようとしても、その前に銀行預金が差し押さえられてしまい債権を回収されてしまっては、話し合う必要がなくなってしまい、特定調停を行う必要性がなくなってしまうからです。そして、反対に、強制執行の停止を求めるためには、その事件が特定調停によって解決するのが相当と認められる場合でなければならないとされています。なお、強制執行の停止がなされたとしても、停止されるのは取り立て行為等についてのみであり、差押えについては継続されます。そのため、生活費等が足りなくなるおそれは避けられるかもしれませんが、会社には迷惑がかかったままです。
 破産の場合においても、免責許可の申立てがあった場合で、かつ、同時廃止の決定があった場合には強制執行を行うことはできなくなり、すでになされている強制執行は中止されます。そして、免責許可の決定が確定した際には強制執行はその効力を失います。さらに、同様に、個人再生の場合においても、再生開始決定の効果が生じると強制執行を行うことはできなくなり、すでになされている強制執行は中止されます。そして、再生手続認可の決定が確定した際には強制執行はその効力を失います。
 このように、強制執行された場合にも強制執行を中止してもらう方法はあるので、強制執行された場合には、きるだけ早く債務整理の方針を決めて手続を行う必要があります。

【債務整理/自己破産】



「司法書士 静岡県藤枝市」

藤枝市の花 「藤の花」

【静岡県藤枝市】

藤枝市の花「藤の花」

谷中和志司法書士事務所・藤枝版
 藤枝市・島田市・掛川市・菊川市・榛原郡川根本町

  債務整理・相続登記・不動産登記・商業登記・遺言書作成・成年後見・その他司法書士業務